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嘘ばっかり

 昔書いたエッセイです。


「君、恋人はいないの?」と美人ホステスさんに訊くと、たいていの女性はいないと答える。
「じゃ、君を恋人と思っている男をこれから呪おう。いないんだから構わないよね。(忍者のように印を結んで)そいつが今夜死にますように。はい、ご一緒に唱和を」
 こんなことを言うから私は嫌われる。
 もっとも、本当に恋人がいない子は唱和してくれるのだ。とにかく女性は嘘つきであり、それを悪いという意識もない。嘘を咎めると、その時は本気だったの、とか、あなたを傷つけないために言ったの、なんてことをシャアシャアと言ったりする。

 別れた彼女と恋人同士だった頃、何度ホテルに誘っても、生理中だからと断わられていた事がある。
 もちろん何の最中だろうが、こちらは一向に構わないのだが、嫌と言うものは仕方がないので引き下がるしかない。
 そんな矢先に、結婚すると言われて別れた。そして、出来ちゃった婚だったのだと、あとになって知った。
 生理中どころか、着床していたのだ。ちゃくしょー、いや、ちくしょー! 嘘ばっかりつくくせに、「結婚するの」とか「妊娠しちゃった」などという言葉は本当なのだ。
 こちらが、どうか嘘であってくれ、と願う時ばかり本当であり、「あなたが好き」などと言われ、気持ち良く信じた言葉は全て嘘なのである。

 まあ女は弱い。嘘も涙も全て武器にするのは仕方がないことなのだろう。
知り合いに、こんな男がいた(決して私ではない)。五十過ぎてお見合いで初婚、彼は坊っちゃんの世間知らずだが金はある。たいそうな美女と結婚して目尻を下げていたが、三ヶ月で彼女は通帳を持って失踪。
 彼は仕事を休んで懸命に探した。怒っているのではなく、何かあったのだと心配して愛する人を探したのである。

 そう、騙されたとは信じたくないものだ。そして執念で探し出した。彼女は飲み屋街で働いていた。
「ごめんなさい。好きな人ができたの。決してあなたを嫌いになったわけではないから。代わりに妹を紹介するわ」
 男は、それで信じてしまう。そして妹と暮らし始める。おいおい、本当の妹のわけないじゃないか。その子だって、すぐまた居なくなるぞ。
 と思うのだが、何しろ男は学習しない。自分が騙されたと信じるのが怖いのである。

 まあ、こういう男は実に騙しやすいのだろう。
あなたのこと好きだけど、これでお別れ、と言われると、男は悲しいけれど、僅かなプライドを土産に引き下がってしまうのだ。私もそうである。


 なーんてことを、昔書いていましたなあ。ではおやすみ。
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かげろう102

Author:かげろう102
官能作家、睦月影郎のブログ2です。

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